韓国の三大祈祷院・普門寺
江華島から船で西に約5分の席毛島の洛迦山の中腹にある「普門寺」は、襄陽洛山寺と錦山菩薩庵と共に韓国の三大祈祷院です。新羅時代の善徳女王4年(635)に犠正大師が金剛山(北朝鮮)で修行し、ここにやって来てお寺を創建したと伝えられています。漁夫の網にかかった仏像を並べて奉った石窟羅漢殿と、1928年に金剛山・表訓寺の住職(当時は日帝時代でまだ分断されていなかった)と普門寺の住職が、眉毛岩に彫刻したと言われる高さ9.2mの磨崖観音像が見所です。また、石窟内部にある由緒ある香木と、寺に従事する人々が使ったとされる巨大な石臼も見物で、海に沈む夕日も見逃せない景色のひとつです。夜の礼仏が始まる午後6時になると、僧侶たちが演奏する法鼓の音が響き渡り幻想的です。
江華島の西の島・席毛島に位置
上でも説明したように普門寺は、
江華島の西側にある席毛島の洛迦山の中腹にあるお寺です。席毛島は、江華島の外浦里にある外浦乗船場からフェリーに乗って5分ほどの所に位置しています。そして、席毛島の船浦里乗船場から車で10分ほど走ると普門寺の門前に到着します。門前に到着すると洛迦山普門寺と書かれた門があり、そこから坂道を10分ほど登って行けば普門寺に到着します。そこには、
極楽宝殿、
石窟、三神ハルモニが奉られてる
三聖閣などがあり、そしてまた400段ほどの階段を登れば、眉毛岩にある磨崖観音像にたどり着きます。そこまで行くのはちょっときついですが、眉毛岩から見渡す黄海は絶景で、またこの
磨崖観音像にお祈りすれば必ず願いを叶えてくれると言うので、普門寺に行ったらぜひ眉毛岩まで登ってみましょう。
表訓寺の住職と普門寺の住職が彫刻した磨崖石仏坐像
磨崖石仏坐像へは極楽宝殿とお土産屋さんの間にある
400段以上ある長い階段を登って行けばたどり着きます。また、磨崖石仏坐像は、
洛迦山の中腹にある眉毛岩に1928年に
表訓寺の住職、李華応と普門寺の住職、裵善周が彫刻したもので、高さ9,2m、幅3,3mの巨像です。坐像の様式を見ると角張った顔に、宝石で装飾された大きな宝冠をかぶり、両手を合わせ世俗の全ての煩悩と魔鬼を洗い流してくれる水の入った浄瓶を持って、蓮の花の台座の上に座っています。顔に比べ少し大きく見える鼻、口、耳は多少不恰好ですが庶民的で、見る人の心を穏やかにしてくれます。また、両肩には僧侶たちが着る袈裟を掛け、胸には大きな“卍”の字が彫られています。普門寺は
観音菩薩の聖地として重要視されていますが、この坐像も長く経
ったものではないですが、ここで祈祷すれば叶わない願いは無いと言います。
伝説のある石窟
普門寺の石窟には
創建と関連した伝説があります。それは犠正大師が普門寺を創建してから14年目。普門寺のある洛迦山の麓に住むひとりの漁師が、ある日漁をしていると網に人の形をした大きな石ころが22個引っかかりました。漁師には必要のない物だったので、そのまま海に捨てたのですが、再び網に引っかかったので、もう一度それを捨てました。そして、その日の夜、漁師の夢の中に一人の年老いたお坊さんが現れました。お坊さんが“
私が捨てた石は天竺の国から送られて来た貴重な仏像なので拾い上げて名山に安置してください。”と頼んだので、漁師は次の日もう一度海に行ってその石をすくい上げました。そして、それを綺麗に洗って夢に出てきた石窟に持って行きました。すると石窟には石像を安置するのにぴったりな天然の座台があったので、そこに石像を安置しました。また、石窟の横には霊験あらたかな泉が湧き出ていて、その味はあまく、たくさん飲み過ぎてもお腹をこわすことはなかったそうです。また最近石像を調査したのですが、この石像は韓国の花崗岩ではなく、
インド産の石であることが確認されたと言います。石像の大きさは30cm前後で、仏壇の後ろには1982年の仏壇造成を記念する<普門寺石窟法堂縁起文>と<法華経略募掲>という文字が彫られています。
臥仏殿
臥仏殿は
五百羅漢と共に千人台に築造された殿閣です。築造当時
お釈迦様の姿を自然石に、彫刻してお祭りしていて、全体の身長は10m、涅槃台は12mとなっています。また釈迦様の後ろには空間があり、周囲を回りながら参拝することもできます。お釈迦様の横になっている姿と手の様子、仏衣のひだなどが
実写的に表現されていて、雲様が彫られた涅槃台は雲の形が秀でて美しく彫刻されています。
極楽宝殿
普門寺の中心にある
極楽宝殿は前面5間、側面3間で、中の広さは60坪で1972年
静守和尚が修造しました。法堂の中の祭壇の上段には
お釈迦様と
大勢至菩薩、
観世音菩薩が祭られてあり、中段には
地蔵菩薩と
大勢至菩薩、
観世音菩薩と
神衆幀畫が、下段には
霊駕壇が祭られています。また、上段の後ろ側には三千個の玉で作られたお釈迦様が祭られていて、三尊仏の上には仏蓋が作られ天井の方には左右にそれぞれ一つずつ龍が彫られています。そして、殿閣の門は彩られた花柄の桟で素朴な味わいをだしています。
三聖閣
三聖閣は
山神・
七星・
独聖という三人の神を祭っているところです。どうしてお寺に神が祭られているかと言うと、韓国には仏教が伝わる前に土俗信仰というのがあり、その神々が山神・七星・独聖というわけです。その後、韓国で仏教が定着し
、土俗信仰と仏教が合わさって、このようにお寺に神様が祭られるようになったのです。
舎利塔と五百羅漢
舎利塔は、幅4m、高さ9mに達する
33観音宝塔で、33体の
観世音菩薩彫られていて、お釈迦様の
真身舎利が奉安されています。また、
五百羅漢は白玉で出来ており2009年3月に完成しました。石窟の前には新羅時代に使用した
石臼が今も残されています。この石臼の大きさは直径69cm、厚み20cmで一般用の石臼より2倍ほど大きい花崗岩の石臼です。また、坂道を登りきった所には薬水が湧いています。
普門寺の門前街
普門寺の門の前には、日本とはちょっと違った門前町が広がっています。道端では、おばちゃん達が食料品などを売っていたり、お土産を売るお店などが沢山あります。
江華島”はヨモギや高麗人参、赤カブが有名で、
赤カブのキムチや高麗人参マッコリを売るお店も沢山並んでいます。また、江華島は周りが海に囲まれているので海産物がよく獲れますが、
その中でも
サッパ(ままかり)が有名です。そんなサッパの刺身や和え物を食べさせてくれる食堂がずらっと並んでいて、そこに『
普門食堂』があります。お店の前では、
ヨモギの天ぷらや小エビの天ぷらを揚げていて、揚げたての天ぷらを試食させてくれ、
高麗人参マッコリや
渡り蟹の醤油漬けなども試食できます。遠慮しないでじゃんじゃん頂きましょう。
席毛島へ行くには・・・
ご利益、ご利益!
いかがでしたか?普門寺は
伝燈寺・
浄水寺並んで江華島において、はずすことのできない
韓国の三大祈寺刹でもあり、
韓国三十三観音聖地でもある普門寺は見所たっぷりです。少し足の弱い人はたいへんですが、それでもご利益があるとあってか、韓国のおばちゃまたちも一生懸命登っていました。江華島まで足を延ばしたら、ぜひ普門寺にも立ち寄って見て下さいね。