いずれも脱北者からの証言により発覚しました。特に、
第2トンネルは出口が三方向に分かれており、1時間に3万名の武装兵力が移動できるほどの規模。そしてトンネル内に、大規模兵力を集結させられる広場まであり、車両、野砲等と一緒に戦車まで通過できるというから、驚くと同時に背筋が寒くなる話ですね。
これは事実だ。この現実をどう受け止める!
これらの秘密トンネルのうち、第3トンネルは、観光客も地下に掘られたトンネルまで行き来することができます。貴重品やカメラを預け、ヘルメットを被る。専用トロッコは大人横一列に、3人乗れるだけのぎりぎりの幅。時折頭を岩盤にこすらせながら急勾配をググッグググッと下がっていくのは、いかにも緊張します。
ほどなく、地表から73メートルの地点に掘られたトンネルまでたどり着くと、岩盤からつたう地下水が、トンネルをひんやりと不気味に濡らします。この染み出す地下水は、北側に流れるように、トンネルはわずか0.03 度の傾斜で掘られているそうです。長さ1,653m、高さ1.95m、幅2.1mのトンネルの岩盤は、固い花崗岩。
北朝鮮側までつながる道は3箇所で遮断されており、軍事境界線まで200メートルを切ったところまで歩いて行くことができました。
つるはしなど手作業で、しかも 秘密裏に、どうやってここまで掘り進めることができたのか、想像するのも恐ろしいです。
時折ダイナマイトを仕掛けたという黄色いマーカーが印されていたり、カモフラージュのための石炭粉が塗られたりと、現実をまざまざと見せ付けられ、改めてショックを受けました。
北朝鮮と韓国は、現在も休戦状態にあります。表立って攻撃することはできないものの、両国の間の緊張は、68年青瓦台襲撃事件、70年6月国立墓地爆破事件、74年8月文世光狙撃事件、79年10月朴大統領射殺事件、83年10月ラングーン事件、そして、87年大韓航空機爆破事件、96年潜水艦座礁事件などと記憶に生々しい。北朝鮮と隣り合わせにいる韓国の難しさをひしひしと肌に感じます。
トンネル内部に「統一の泉」と呼ばれる地下水を飲むことのできる場所があります。
このトンネルのある地表面は非武装地帯となっており、休戦以来半世紀以上の間、人の往来がほとんどなくそれだけにこの辺一帯は手付かずの自然が残されています。地下水の透明さと清らかさを、このトンネル内部で味わえることが皮肉ですね。