ユネスコ世界文化遺産に指定された江華コインドル郡
江華島では、江華支石墓をはじめ青銅器時代の代表的な石墓であるコインドル(支石墓)が120余りもみられます。その中でも2000年12月、ユネスコ世界文化遺産に登録された「江華コインドル(支石墓)郡」が最も評価されています。コインドル(支石墓)には、足の長い石柱に石を載せテーブル状に石を組んだ「北方式」と短い石柱に石を載せた碁盤状に石を組んだ「南方式」の2種類がありますが、ここ江華コインドル群は、テーブル式になっているので「北方式」に分類され、韓国を代表するコインドル群となっています。そして、江華島にはコインドル群が、北部から中部に架けて5ヶ所点在しており、また、江華島のコインドル郡の中で一番有名な江華コインドル(支石墓)は、朝鮮半島最大規模のコインドルとなっています。
江華島の北部から中部に点在
江華コインドル郡(支石墓)は、ソウルから北西に50kmの所にある
江華島の北部から中部に点在しており、江華歴史博物館のお隣には、江華コインドルがあります。ソウルからだと
新村から出ている3000番バスに乗れば、1時間ちょっとで江華バスターミナルまで行くことができます。江華バスターミナルからは郡内バスもありますが、島全体の観光や支石墓郡全部を見て回りたい方などは、レンタカーなどを借りて観光することをお勧めします。島内は交通があまり便利ではないので、しっかり下調べをしてから行きましょう。
<江華コインドル観光案内所>
コインドルの国・韓国
韓国はコインドルの国と言えるくらい
世界で一番数多く所有しています。コインドルとは支石墓のことを言い、先史時代の巨大な石で造られた墓で、イギリスのストーンヘンジやイースター島のモアイ像のように、世界のあちこちでみられます。支石墓群は、主に東北アジア地域に多く見られる
青銅器時代の代表的な埋葬遺跡で、特に韓国には東北アジアに残った4万基あまりの支石墓群のうち、
約3万基が密集しています。韓国の支石墓群は、今からおよそ
3000年前から1000年にわたって造られた遺跡で、今も当時の姿をそのままとどめており、先史時代の埋葬風習と巨石信仰が垣間見られる貴重な文化遺産です。支石墓には、足の長い石柱に石を載せテーブル状に石を組んだ
「北方式」と短い石柱に石を載せた碁盤状に石を組んだ
「南方式」の2種類があります。
ここ江華コインドルは、テーブル式になっているので「北方式」に分類され、
韓国を代表するコインドルとなっています。そして、2000年12月に
全羅北道高敞郡にある高敞支石墓群、
全羅南道和順郡にある和順支石墓群と共に
ユネスコ世界文化遺産に登録されました。また、江華コインドルは海抜30mの高さの稜線の上に建てられ、土で表面を数十層に押し固め支柱を左右に立て、その後覆い石を載せて造られます。これらのコインドルは、支配階級の墓であると同時に儀式用の祭壇としても使われ、またこれらの石の上には小さなくぼみや線がたくさん刻まれています。これは昔、何も障害物がない平野のど真ん中にあるコインドルの上に登って、農業を順調に行う為の天文を調べて記した跡が残っています。
支柱は先に土の中に埋めて支え、覆い石を載せたら支えていた土を取り除くとコインドルの出来上がり!(
江華歴史博物館写真より)
江華コインドル(支石墓)
鰲上里(オサンリ)コインドル群
江華郡(カンファグン)內可面(ネガミョン)鰲上里(オサンリ)にある鰲上里コインドル群は、高麗山(海抜436m)の西側の落照峰(ナッチョボン)の端に位置していて、全部で11基のコインドルが集まっています。大部分のコインドルは覆い石が落ちていて支え石も片方に傾いていますが、2000年に実施された発掘調査によると、北方式(テーブル式)コインドルということが確認されました。その中で一番大きく、上の方に位置したコインドルは内可支石墓(ネガコインドル)と言い、覆い石の大きさは長さ3.7m、幅3.35m、厚さ50cmで仁川市記念物第16号にも指定されています。
* 石の上のくぼみや線は、天文を調べて記録した跡
橋山里(キョサンリ)コインドル群
江華郡(カンファグン)両寺面(ヤンサミョン)橋山里(キョサンリ)にある橋山里コインドル群は江華島のコインドル群の中で一番北側にあり、奉天山(標高291m)の尾根の標高200m地点に位置し、全部で11基のコインドルが尾根に沿って点在しています。ほとんどが北方式(テーブル式)コインドルで地上に4面を板石で塞いで墓室を設置した後、その上に覆い石載せた形式です。人が少ない山に位置しているので、人為的破壊が少なく、元の形がきちんと保存されています。
富近里(プグンニ)チョムゴルコインドル群
江華郡(カンファグン)河岾面(ハチョンミョン)富近里(プグンニ)にある富近里チョムゴルコインドル群は、高麗山(標高436m)の北側から始まる尾根の端、海抜15m所にあり、覆い石が重いためか、若干傾いています。また、富近里チョムゴルコインドル群は、他のコインドル群と同じく北方式(テーブル式)コインドルとなっています。富近里チョムゴルコインドルは東西に位置し、東にあるのは長さ2.55m、厚さ0.4m、幅は確認不可能で、西側にあるのは長さ2.55m、幅1.55m、厚さ0.5mです。そして覆い石は長さ4.28m、幅3.7m、厚さ0.65mで全体の高さは1.85mです。
三巨里(サムゴリ)コインドル群
江華郡(カンファグン)河岾面(ハチョンミョン)三巨里(サムゴリ)にある三巨里コインドル群は、高麗山(標高436m)の西の尾根に位置しており、北方式(テーブル式)コインドルが9基があります。ここ三巨里コインドル群のコインドルは、斜めに倒れていますが、ほとんどが地上に4面を板石で防いで墓室を設置した後、その上に覆い石を載せた形式の北方式コインドルの原型を維持しています。覆い石の上には直径5㎝程度の穴が1.5㎝ほどの深さでいくつか掘られていますが、これは、天文を記した跡です。また、この地域では、支石墓の築造過程を明らかにする重要な手がかりとなる採石(采石)をした跡がある石切り場が発見されたりして、学術的価値が大きいと言えます。
古川里(コチョンリ)コインドル群
江華郡(カンファグン)內可面(ネガミョン)古川里(コチョンリ)にある古川里コインドル群は、高麗山(標高436m)の頂上の西峰である落照峰の方にあり、高度350m地点の尾根に位置しています。古川里コインドル群は、江華コインドル群の中で最も高いところにあるコインドル群で、3カ所に18基が集まっています。內可面古川里にある北方式(テーブル式)コインドルの1基は完全に原型を保っていますが、その他のコインドルは、自然な崩壊によって原型が崩壊した状態です。北方式(テーブル式)コインドルは、韓国のコインドルの初期の形と推定され、また保存状態が良好なので、学術的保存価値が高いとされています。特に、尾根の上の部分にコインドルの石を砕石した跡がある石切り場が発見されました。
古に思いをはせながら・・・
江華コインドル群、いかがでしたか?遠い遠い昔、ここでどんな生活を送り、このコインドルには、どんな人が眠っていたのかなんて想像しながら回ってみても楽しいでしょう。ただ、全部見て回ろうと思えば、少し広範囲に広がっているので大衆交通を利用するのは、少し難しいのでタクシーやレンタカーを利用する事をお勧めします。